株式会社のしくみ

株式会社の仕組みについて紹介します。厳密性を欠く部分もありますが、なるべくわかりやすく書いてみます。

株式会社のしくみ
株式会社のしくみ
 大規模な会社は、1人の個人だけの資金で設立して所有することはできません。このため会社の所有権を分割して表すものとして株券を発行し、その会社を応援しようとする人に買い取ってもらうことで資金を調達といい、出資をした人を株主といいます。つまり、株式会社は株主が共同して所有することになります。なお、株券の単位は株で、1株、2株・・と数えます。株券は図のようなものですが、最近は取引を簡単にするため電子化されています。
株式会社を所有していることを示す株券
株券のイメージ
 株式会社を新たに設立するときには株主が集まって設立総会を開き、話し合いの上でどういう目的でどのような事業を展開するかといった経営方針を決めます。設立した後の業務については、株主は人数が多く普段はいろいろな仕事をしているので、細かいことがらについて集まって話し合うことは困難であす。そこで、設立総会で役員を選任し、役員が経営方針に従って日々の業務を取り行うようにしています。このように株式会社では、所有者である株主と実際に経営する役員が分業して複雑な運営がなされているので、ルールを文書化して明らかにしておく必要があります。このルールを定款(ていかん)といいます。
 役員は年1回以上の割合で株主総会を開催します。ここでは株主が役員から損益計算書や貸借対照表などの財務諸表によって利益や財産の状況について報告を受けた上で、今後の経営方針を話し合います。また次の役員を選任するとともに、どのように利益処分を(利益を山分け)するかを決議します。利益処分の方法には次のものがあります。
用 語 内     容

配当金

株式会社に資金を拠出し所有している株主に対し1株当たり何円という計算を行い、現金で利益を配分します。

役員賞与

日々の経営を担い利益を上げた見返りとして役員(取締役)に報酬(ボーナス)を支払います。

内部留保

利益を配当金として受け取ってしまうよりも、長期的により多くの利益を上げることができるように会社を大きくすることに使う方が好ましいと考え方もあります。このため新製品を開発したり、新しく販売ルートを開拓したりするために資金を会社の中に残しておきます。

株式会社の特徴

株式会社には次のような特徴があります。

  1. 株主総会での決議は1人1票ではなく、所有している株式数による多数決によります。このため発行された株式の50%超を持つ株主は、たとえ他の株主が全員反対したとしても、たいていのことについては思ったとおりに企業を動かすことができます。
  2. 株式は売りたい人と買いたい人が合意すれば売買することができます。特に大きな企業の株式は証券取引所という市場を通して自由に取引でき、株価(売買するときの値段)は売る人と買う人の需給関係によって決まります。証券取引所で株式を売買できるようになることを上場といい、上場すると幅広い投資家から多額の資金を集めることができますが、そのためには売上高や株主の人数など一定の基準を満たす必要があります。上場していない企業の株式の売買は株主総会での決議が必要となることがほとんどです。
  3. 企業が大きな利益を上げると、配当金が増えたり株価が大きく上がったりすることがあります。株主は配当金を受け取ることや、株式を安いときに買い高くなったときに売ることで利益を得ることができます。
  4. 逆に株価が下がり、株主が損をすることもあります。特に企業が倒産してしまい株券の価値が0になってしまうこともありえます。
  5. 事業に必要な資金は、株式発行だけではなく金融機関などから借り入れることもあります。このため企業が倒産してしまい、財産を全て売り払ってもまだ借入金(かりいれきん)が残っていることも考えられます。そのような場合でも、株主はその借入金までを肩代わりする責任はありません。つまり、投資した株券の価値が0になることはあっても、それ以上の請求を受けることはないわけです。このことを株主の有限責任といいます。