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厚生年金保険料の推移

社会保険のテキストを見直しています。社会保険で大変なのは保険料率などが頻繁に改定されるので、その都度もれなく修正していくことが必要なことです。夏休み明けからの授業で使うために、遅ればせながら改訂作業に入りました。

厚生年金の保険料は例年9月に改訂されます。(実際の納付は1か月後になるので10月から適用されます。)現在の保険料率は18.182%で、これを労使折半で(9.091%ずつ)負担していますが、これが今年の9月から18.3%(労使とも9.15%)に改訂されます。

厚生年金保険料のこのあたりの流れは、平成12年に年金制度が大きく見直され、平成15年4月から保険料率が17.35%から13.58%に改訂されたところから始まります。何だか保険料が安くなったような気がしますが、実は次のような経緯があります。

そもそもサラリーマンが対価として受け取る賃金を社会保険では月給である報酬と、ボーナス(3か月を超える期間ごとに受けるもの、つまり年3回以内支給されるもの)に分けられます。実は平成6年までは月給、つまり報酬からしか保険料を徴収していませんでした。しかし、少しずつでも保険料を頂戴しようということで、平成7年から特別保険料として1%(労使0.5%ずつ)を徴収することになりました。1%とは控えめですが、この保険料は将来の年金の支給額には反映されないという中途半端なものでした。

ところで、厚生年金保険料は企業にとっては専ら法定福利費という費用であり、労働者にとっては保険料を多く支払えば老後の年金に反映されるのですが、若いうちは先のこと過ぎて、どうもピンときません。そこで、「お互い保険料は安いに越したことはないよね」と年間の給与の中で賞与の割合を意図的に高くしていくような輩がいたとかいないとか。そこで、先の平成12年の改正で保険料率は報酬も賞与も13.58%となりました。報酬に対する保険料は安くなり、報酬については一気に跳ね上がりましたが、この部分も将来の年金の支給額に反映されます。このように報酬からも賞与からも同じように保険料を徴収し、年金の給付に反映しようとする仕組みを総報酬制といいます。

ところでこの保険料率、平成16年の見直しで平成16年9月から毎年0.354%ずつ引き上げられることとなり、平成29年9月に18.3%で固定することとなりました。「少し(0.354%)ずつ」と語呂は良いのですが、「少しずつ」でも13年間上がり続けると現在の18.182%となり、奇しくも今年がゴールの18.3%になる年に当たります。

今後、この保険料率で行けるのでしょうか。以前、週刊ポストには、当初の見込みほど物価も出世率も上がらず、財政が厳しくなることから、老齢年金の支給が65歳から75歳に引き上げられるとのショッキングなことが書かれています。このあたりの負担と給付の関係をどうするか、しっかりとした情報開示と議論が必要であると感じています。

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