解雇については、民法で次のように定めており、労働法令の中では特に定めがありませんでした。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。 3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。 (やむを得ない事由による雇用の解除) 第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う |
しかしながら、解雇についてはその無効を争う裁判が行われ、解雇権の行使は濫用にあたるときには無効であるとの判例が積み重なってきました。そこで、労働契約法第16条で、次にように定められるようになりました。この条文は平成16年1月1日に労働基準法第18条の2として定められましたが、20年3月1日に新たに施行された労働契約法第16条に引き継がれています。
(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 |
この法律は平成24年8月10日、基発0810第2号および平成27年3月18日基発0318第2号でつぎのとおり定めています。
解雇は、労働者に与える影響が大きく、解雇に関する紛争も増大していることから、解雇に関するルールをあらかじめ明らかにすることにより、解雇に際して発生する紛争を防止し、その解決を図る必要がある。このため法第16条において、権利濫用に該当する解雇の効力について規定したもので解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると判示した日本食塩製造事件最高裁判決を参考にしています。
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